木材の種類(集成材)

住宅に用いられる建材と林産物のJAS規格についてのシリーズも,今回で4回目になります。  今回は,住宅の柱,梁,桁,階段などや,テーブルなどの家具に使用されている集成材の規格について紹介します。


1.使われ方の変化 / 2.新たな木材加工製品




1 集成材とは

 集成材※1とは,ひき板を人工乾燥した後,大きな節や割れなどの欠点を取り除いたものを接着剤を使って接着し,柱や板などの形にたものをいいます。
 金物で締めたままのものや,釘打ちしたりしたものは含みません。

(図1および図2参照)


2 集成材の種類

JAS規格では,集成材の種類および用途を表のように分けています。


表 集成材の種類・特徴・おもな用途
種類特徴主な用途
造作用集成材
(非耐力部材)
主として造作用部材として使われるもので,ひき板もしくは小角材などを素地のままで積層接着したものです。 階段の手すり,ステップ,壁材,パネルの芯材など,その他幾多の用途に使用できる内部造作用材です。
化粧ばり造作用
集成材
(非耐力部材) 造作用集成材の表面に美観を目的として薄い化粧板を貼りつけたものです。貼りつけた化粧板の種類により豊富な表面効果を得ることができます。長押*,敷居*,鴨居*,落掛,上り框*,階段の手すり,笠木,カウンター,床板,床縁などの内部造作用材です。
化粧ばり構造用
集成柱
(耐力部材)
構造耐力を目的とした部材で,ひき板をその繊維方向を互いにほぼ平行にして積層接着し,その表面に美観を目的として化粧板を貼りつけた集成材で,所要の耐力に応じた断面の大きさと安定した性能を得ることができます。主として在来軸組工法住宅の柱材として用いられるものです。
(化粧単板厚さ1.2mm以上,芯材は5層以上のもの)
構造用集成材※2
(耐力部材)
構造耐力を目的とした部材で,ひき板をその繊維方向を互いにほぼ平行にして積層接着したものです。所要の耐力に応じた断面の大きさと安定した性能が得やすく,かつ,湾曲材とすることもできるので,大規模木構造物の建設が可能です。寸法,断面積によって,大断面,中断面,小断面に分類されます。木構造の耐力部材としての柱,桁*,梁*,湾曲アーチなど教会,体育館,公民館,事務所,住宅などの設計者のデザインを生かす用材です。
 また,橋梁,木造船の竜骨,コンテナーの床板などにも使われます。

*については「木とくらし7」(1995年3月第20号)の住宅部材の用語解説を参照


構造用集成材 化粧ばり構造用集成材



3 品質の基準

 JAS規格では造作用集成材,化粧ばり造作用集成材,化粧ばり構造用集成柱,構造用集成材のそれぞれに外観の品質,寸法,含水率,接着の程度,用途に見合った強度などについて定められています。
 例えば,非耐力部材である造作用集成材や化粧ばり造作用集成材は基本的に強度に係る規定が無く外観の品質などに重点をおいているのに対し,構造耐力部材である構造用集成材の場合,使用環境や樹種,強度性能に重点をおいて定められています。


4 JASマークと表示例

(1) JASマーク 集成材のJASマークは図3のように,品名によって,表示の色が決められており,マークを見ただけで用途がわかるようにしています。

集成材のJASマーク

造作用集成材(黄色) 化粧ばり造作用集成材(緑色) 化粧ばり構造用
集成材(ピンク色)
構造用集成材(青色)
(2) 表示事項例
商品の選択に便利なように,樹種名や寸法といった製品の内容を示す事項を一括して表示することとその表示の方法を定めています。
以下にその例を記載します。


@ 化粧ばり造作用集成材
品     名
樹種名(芯材)
(化粧薄板)
化粧薄板の厚さ
見 付 材 面
寸     法
製 造 業 者
または
販  売  者
化粧ばり造作用集成材(框)
スプルース
ヒノキ
上面1.5mm その他0.6mm
2面
短辺10.0mm 長辺15.0mm
材長1m
○○県○○市○○町
○○(株) 集成材工場

A 化粧ばり構造用集成柱
品     名
樹種名(芯材)
 (化粧薄板)
化粧薄板の厚さ
見 付 材 面
寸     法
製 造 業 者
または
販  売  者
化粧ばり構造用集成柱
ロッジポールパイン
ヒノキ
1.2mm
3面
短辺10.5mm 長辺10.5mm
材長3m
○○県○○市○○町
○○(株) 集成材工場

B 構造用集成材
品     名

強度等級※3
材面の品質
接着性能※4
樹  種  名
寸     法
製 造 業 者
または
販  売  者
異等級構成構造用集成材
(対称構成)「大断面」「梁」
E105-F300
2種
使用環境1
スプルース
短辺  長辺  材長
○○cm ○○cm ○m
○○県○○市○○町
○○(株) 集成材工場


※1:集成材を定義すると,「ひき板または小角材などをその繊維方向を互いにほぼ平行にして長さ,幅および厚さの方向に集成接着した一般材」となります。
つまり集成材はその本体が,
@ひき板または小角材などが主原料であること。
A接着によって一体化されていること。
B一体化した場合,繊維方向は平行にそろっていること。
が必要です。 これに対し,ロータリーレースやスライサーで木材をはいだ単板を直角に貼り合わせたものは“合板”,平行に貼り合わせた場合は“単板積層材”と呼ばれます。

※2:構造用集成材には,同じ品質のひき板を積層した「同一等級構成構造用集成材」と,外側の層ほど強いひき板を配置して積層した「異等級構成構造用集成材」の区別があります。

※3:強度性能を表すもので,曲げヤング係数(たわみにくさの指 標:記号E)と曲げ強さ(破壊時の最大曲げ応力:記号F)の組合せで,「E○○−F○○」というように表示されます。

※4:構造物の耐力部材に使われる接着剤には湿度や熱など長年の使用に耐える性能が要求されます。その性能条件によって「使用環境1」と「使用環境2」に基準を設けています。




「大きな目小さな目」(全国版)(農林水産消費技術センター広報誌)2000年3月 第50号


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