住まいの害虫シロアリ

 大切なマイホームをシロアリの被害から防ぐためには、シロアリの生態を理解し、被害を受け易い箇所への対策を立てる必要があります。


シロアリの種類と分布 / シロアリの生態と羽アリの群飛(スオーム) / マイホームのチェック方法 / シロアリ対策



1.シロアリの種類と分布


 シロアリはアリと名が付いてはいますが、ゴキブリに近い仲間の 昆虫で、木の主成分のセルロースを食べて生きています。

 日本に生息しているシロアリのうち木造建築物などに被害を与えるシロアリ はヤマトシロアリとイエシロアリの2種類(沖縄県はダイコクシロアリを含む 3種類)で、ヤマトシロアリは北海道北部を除く全国に分布し、イエシロアリ は千葉県の房総半島を北限として温暖な西日本一帯の海岸地方に多く分布し ています。

 ヤマトシロアリとイエシロアリの違いを表1に示します。



2.シロアリの生態と羽アリの群飛(スオーム)


 シロアリは、女王アリを中心に多くの個体が階級社会を構成して暮らし ています。一つの群に一対の王・女王アリ、4〜5対の副王・副女王アリ、 新しい巣を作るための羽アリが4〜5%、羽アリの予備群の擬蛹(ニンフ) が4〜5%、巣を外敵から守る兵アリが2〜4%、巣の構築、木材の食害を 行う働きアリが残り約90%を占めており、冬の寒い時期を除けばほとんど 年中活動しています。

 5月上旬から7月上旬にかけての、湿度が高く暖かい日の昼頃(イエシ ロアリは夕方)、巣を作っていた木材から小さな穴をあけ、黒褐色又は黄 褐色の羽アリがゾロゾロと風に乗って飛び出して新しい巣を作る場所を探 し求めます。

 特にイエシロアリは常夜燈に飛来しますのでその周辺は特に注意が必要 です。シロアリが人の前に姿を見せるのはこの時だけです。同じ時期にア リの羽アリも飛びますので、その見分け方を表2に示します。



3.マイホームのチェック方法


 シロアリの被害を受けやすいところは、一般的に住宅の北側や、 床下の風通しが悪く湿気が高いところ、生活用水が漏れているところ、屋根裏 等の雨もりのするところ、床下の建築時の木屑、庭の古い切り株(切り株はシ ロアリの格好の巣となる)などです。

 床下のチェックは台所の床下収納庫などを取り外して、床下に潜り、特に 北側の湿気を多く含んで腐っている箇所などを中心に次のような箇所がない か調べます。

1.蟻道がないか  シロアリは基礎の内側や土台、床つか(床を支えている短い柱)、柱など の表面に排泄物や土砂などでトンネル(蟻道)を造って侵入してきます。 2.蟻土はないか  シロアリは風や光を嫌い、適当な湿度を保つために木材の割れ目や継ぎ目に 土(蟻土)を詰めたり、盛り上げたりします。 3.空洞音がしないか  シロアリは木材の表層を残して内部のみを食害するため、内部が空洞になり 、被害を受けた木材を金槌などでたたくと空洞音がしたり、ドライバーなどで ほじくると簡単に穴があきます。

 もし、これらの箇所を見つけたり、シロアリの羽アリが飛び立ったり、飛ん で来たりした時は、信頼できる専門家に再度チェックしてもらい、根源を撲滅 する必要があります。



4.シロアリ対策



1. 水漏れ、雨漏り箇所の修理と床下の木屑、切り株などの処理を行う。

2. シロアリは地中から基礎、床つかなどを伝わって建物に侵入するケース が多いため、これを防ぐには床下の地面の薬剤処理を行う。 (床下にコンクリートを打ち込むことも対策の一つ)

3. 土台、床つかなどにはJASの保存処理の規格に適 合するもの、または、ひのき、ひば等(心材)の耐蟻 性の大きい樹種を使用する。


 なお、シロアリ対策については本誌第31号の木材 の防腐対策も参考にして下さい。

(参考文献)木材工業ハンドブック

(写 真 )(社)日本しろあり対策協会
  「シロアリ 被害・生態・探知」より




表1 ヤマトシロアリとイエシロアリの違い
比較項目ヤマトシロアリイエシロアリ
羽アリ4月から6月の雨上がりの昼間に飛来する。
体色:黒褐色
体長:4.5〜7.5mm
6月から7月の温暖な夕刻常夜灯に飛来する。
体色:黄褐色
体長:7.4〜9.7mm
土台、床つかなど加害している場所を巣とする。 小屋裏、大壁内、切り株等に土などを集めて巣を造る。
構成数5万から10万匹10万から100万匹
加害場所浴室、台所などの床下の湿気の多い場所、土台回 りの腐朽した木材 付近に水源があると蟻道を造り水を運ぶため、床下から建物全体に及ぶこと もある。
加害速度遅い速い


表2 シロアリとアリの羽アリの見分け方
比較項目シロアリアリ
羽アリの形態
触角数珠状で直線「く」の字型
くびれがなく
ずん胴
大きいくびれがある
前羽と後羽が
ほぼ同じ形、
同じ大きさ
前羽が後羽より大きい








「大きな目小さな目」(全国版)
(農林水産消費技術センター広報誌)
1997年7月 第34号


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